再開発と地下通路


 札幌都心部での再開発事業が、活発に動き出している。資材高騰や作業員不足などの不安材料はあるものの、新型コロナの閉塞的生活から日常生活や経済が少しずつ戻ってきたこと、国内外を問わず旅行志向の復活、観光客の増加など、良い傾向をとらえての動きなのであろう。

 さらには都心部ビルが、1972年の冬季オリンピックを契機に急速に整備され、半世紀を過ぎたビル施設の老朽化や環境対策を改善する為の再整備の必然性もあるのだろう。

 都心の再開発ビルの整備は、地下通路との位置関係が大きく関係し、札幌の冬期間の気温や積雪などを考慮し、歩行者目線でのビルへのアクセスのし易さが、投資判断の重要な項目であると感じる。特に商業施設や病院などのテナントが入居するビルは、歩行アクセスが重要なので、なお更のことである。

 札幌都心の地下通路機能は、地下鉄整備とともに南北線・東西線・東豊線の駅コンコースとしての通路とあわせ、大通に「オーロラタウン」「ポールタウン」の2つの地下街通路、札幌駅前広場下の位置する「アピア」の地下街の通路が大きな役割を果たしている。

 さらには2011年に供用開始された札幌駅前公共地下歩道「チカホ」ができたことにより、都心の札幌と大通をつないだ大規模な地下ネットワークが形成された。

 これら地下通路とビル地下の賑い、ビル地上部の機能が有機的に繋がったことにより、夏冬を問わずにアクセスできる新しいビルがさらに魅力アップの要因となっている。

 従前、公共的投資を主として整備してきた地下通路であるが、現在建築中の北8西1ビルは、自らの事業の中で地下鉄コンコースを整備し、地下ネットと接続することにより、ビルの価値や魅力を高めようとしている。

 来春開業予定とのこと。楽しみである。